四畳半の住人 / パソコン:あなろぐTips集 / 笑えるメール / 千円古札と五千円新札の会話

■■ 千円古札と五千円新札の会話 ■■
作者:四畳半の住人 -
 そう言えば、、前にも色々と貰ったことあるかも、、と探して出て来たのがこのメール。。パソコンとプリンターの会話と作者は同じかも。

「千円古札と五千円新札の会話」 

 当編集部と提携関係にある(有)橿原工務店がこの度、電熱を用いて無機物同士の会話を録音する、珍なる機器を発明した。その内容の一部をここに掲載する。
A:千円古札  B:五千円新札
録音地 ………… 都内ラーメン屋レジ
B:うわあ
A:うるさい。静かにしろ
B:どうもにぎやかなところだ。落ち着かないな
A:ん?
B:あ。は、初めまして
A:何おまえ、新入りだな
B:ええ。わかります?
A:見りゃわかるよ。
板みたいに背筋のばして…。何だおまえ、五千円か
B:はい
A:五千円は隣だろ
B:あ。ほんとだ。
いや、あの、レジのお兄さんが間違えたみたいで大変ですね。
お昼のラーメン屋さんって、忙しくて。ぼく、初めて来ました
A:おいおい、おまえ本当に初めてなのか
B:ええ、そうです
A:まさか銀行から直行か
B:はい。さっき下ろされてきたばかりです
A:しょうがない。それじゃ俺が、お札の何たるかを一から教えてやるか
B:失礼ですが、ずいぶん長いんですか
A:長いなんてもんじゃないよ。こう見えても夏目漱石の第1期生だからな
B:え。じゃあ、先輩と同期だ
A:先輩?
B:ええ。YGの355267Tです。知りません?
A:知らないよ
B:そうですか…
A:まあ、楽にして聞いてくれ。そんなに肩肘張らなくていいから
B:あの、まだ折り目がついてないもんで、どこで体を曲げていいやらわからないんです
A:ああ、そうか。俺なんかもう、折られまくりだからこの、「千」と「円」の間のところ見えるか?
B:あれ。セロテープが
A:あんまり折られて、破れかけたよ。
前の前の人が親切にしてくれたから助かったけど、おかげで俺はもう、自動販売機には入っていけない体だ
B:大変なんですね
A:人ごとじゃないぞ。おまえだってそのうちにだな
B:でも、お父さんが「五千円は少し大事にされる」って言ってました
A:ま、まあ、そうだけど…
B:あれ、ここはどうしたんですか?
A:う、うるさい
B:なんかボールペンで落書きが
A:それだけは言うな
B:10桁か…。電話番号ですね?
A:そうなんだよ!ひどいだろ?普通、電話番号メモするか?俺たちお金だぜ?
B:お、落ち着いて下さい
A:それもアートネイチャーの番号だぞ?覚えやすいんだから覚えろよ!
B:悩んでたんですよ、きっと
A:透かしのところ、断りもなくノートにしやがって。
あいつだけは許せん!今度巡りあったら、ただじゃおかないぞ。絶対、復讐してやる
B:そういうこと、あるんですか?
A:何が
B:だから…、同じ人のところに、もう一回行くことですよ
A:ほとんどない
B:じゃあ、復讐できないじゃないですか。…ところで、どう復讐するんです?
A:まあ、財布から落ちてみたりね
B:ははあ、確かにショックはありますね。でも、千円じゃな?
A:何か言ったか
B:いえ。何も
A:だが、俺の長いお札人生の中で、一回だけそういうことがあった
B:同じ人のところに? へえ。あるんですねえ
A:まあ、これもあまり思い出したくないんだけど
B:あ、じゃあ、いいです
A:ここまで聞いたら聞け!
B:うわあ。はい、はい、わかりました
A:俺の夏目漱石、よれよれだろう?
B:え? あ、ほんとだ
A:顔のところで何重にも縦に折られてな
B:え。もしかして
A:下から見て笑ってる、上から見て怒ってる、あれだよ
B:うわ、お札にとって最大の屈辱!
A:しかもつまんないだろ? つまんないよな?
B:まったくです
A:そんな屈辱を受けて2年、ようやくしわも伸びて、すべてが思い出に変わる頃…
B:またそいつのところに転がり込んだわけですね?
A:ああ…。しかも、同じことやられたよ
B:うわ?
A:同じことやらなくてもいいと思わないか? そうだろ?人間2年も経ったら少しは進歩するもんじゃないのか?
B:先輩は、なんか運が悪いですね
A:おまえはいいよ。銀行から来て、すぐレジだろ。順調な滑り出しだ
B:そうですか? ぼくはできればこんなラーメン屋じゃなく一流レストランとかがよかったんですけど
A:おまえ、何もわかってないな
B:どうして?
A:最近はカードが増えて、なかなか潜り込めないんだよ。そういうところは
B:ははあ、そういうもんですか
A:俺なんか、銀行から来ていきなり銭洗い弁天だよ?
B:ハードですね
A:こちとら紙で出来てんのに無茶しやがって
B:お札って、大変なんですねえ。自信なくなってきちゃったな
A:そのあと競馬場行って、居酒屋行って、ファッションマッサージ行って、ここだよ
B:裏街道まっしぐらじゃないですか
A:俺にも、若い頃は夢があったけどね
B:どんな夢ですか?
A:やっぱりアタッシュケースに入りたかったね
B:うんうん
A:こう、なんか上品な感じするだろ? …お。レジが開いた
B:うわ、まぶしい
A:九千円のお釣りだってよ。こりゃひょっとして
B:うわ、つかまれた。もっと優しくして
A:しばらく一緒の旅に出ることになりそうだ
B:よろしくお願いします
A:しかし店内はニンニク臭いなあ(以下無音)



笑えるメール目次へ

2001年11月5日作成 四畳半の住人