四畳半の住人 / 四畳半で梅干しを作る / 市販の梅干しの食品添加物〜安部司著:食品の裏側

■■ 市販の梅干しの食品添加物 ■■
〜安部司著:食品の裏側〜
作者:四畳半の住人 -
安部司著:食品の裏側 私は添加物、添加物と神経質ではありませんが,たまたま読んだ本に梅干しの記述があったので,記録として残します。

 子供の頃は梅干しが大嫌いでした。乗り物酔で足や修学旅行も気が重かったです。もともと梅干しが嫌いなのに、乗物酔いに効くからとお弁当の梅干しを食べて、余計に気持ち悪くなり、大人になるまで口にすることはありませんでした。

 ある日,「騙されたと思って食べてごらん」と小一粒の梅干しを勧めてくれました。箸で破いてみると果肉はとてもキレイ。そして嫌な香りがしない。ほんの少しをおそるおそる口にすると。「これが梅干なの? 気持ち悪くない,そして、とても爽やかな香り」とビックリ。それは一粒300円もするそうで丁寧に塩と紫蘇だけで作られた梅干しでした。それからはそれなりのお値段の梅干しを買ってはみたけどやはり気持ち悪く美味しいとは感じなかったんです。でも、友人が御馳走してくれた一粒300円の梅なんて贅沢でとても買えないし、んじゃ、自分で作ろう!が私が梅干しつくりにはまっていったキッカケです。

 少し前までは添加物のせいで市販の梅干しが不味いとは思わず(自分も食べたくないものを売っるなんて夢にも思わなかったし)、単純に手間暇だけの違いなんだろうな、なんて思っていましたが、この本を読んで確信しました。今でも市販の梅干しは舌に何か残る感じが嫌です。梅干し嫌いの友人でも,私のは大丈夫って言います。きっと彼女も食品添加物の味が嫌なんでしょうね。私の子供の頃はインスタントラーメンもスナック菓子も禁止だった為か、食品添加物をちゃんと気持ちが悪いと感じる感覚があったんですねぇ。一人暮らしを始めた当初、憧れだったインスタントラーメンのスープを飲むと気持ち悪くなったのを思い出しました。そうインスタント焼きそばも冷凍食品も気持ちが悪い変な味がしたんですよね。あれから数十年、子供の頃はなかったコンビニもファーストフードも当たり前だし、お手軽に食べられるようになった分だけ自分の口も麻痺して添加物が平気になってしまったと考えると恐ろしいことです。

 本のデータ:食品の裏側:東洋経済新報社 安部司著 定価(本体1400円+税)

食品の裏側 安部司著

第1章 食品添加物が大量に使われている加工食品 より一部抜粋 68頁から
●「低塩梅干」は「高塩梅干」より体に悪い!?

 「添加物を大量に使う食品」のもうひとつは漬物です。
 日本人の食生活に欠かせない漬物ですが、20〜30年ほど前から塩分の過剰摂取の原因として槍玉にあがるようになりました。
 その頃からです。漬物の加工現場に転換期が訪れたのは。
 それまでは塩と、せいぜい着色のためのウコンかシソぐらいでつくられていた漬物が添加物をたっぷり溶かし込んだ「添加物液のプール」でつくられるようになったのです。
 さらに、低塩漬物がこれに拍車をかけました。
 私が添加物商社に勤めていた時期は、塩分のとりすぎが高血圧の原因になるとしきりに言われはじめた頃でした。それを逆手にとって、低塩でひと儲けできないかと思い立ち、さっそく研究を開始したのです。
 最初に考えたのが「低塩梅干」でした。
 通常、梅干には梅の重量の10〜15%の塩を使います。塩は、味付けのためばかりでなく、保存(防カビ)、色落ち防止、それから食感を保つという役目もあります。
 低塩で塩を減らすなら、この役割をほかの何かで補う技術が必要になってきます。
 すなわち、味付けは「化学調味料」、保存は「ソルビン酸」、色落ち防止には「酸化防止剤」、酸味は「酸味料」で補うのです。
 しかし、これではまだ「しょっぱさ」は往来品と同じです。そこで、「甘草」、「ステビア」、「サッカリン」などの甘味料を加えてこれを抑えます。食べる人の舌を「塩分が半減した」と錯覚させるのです。
 これで「低塩梅干」の完成です。
 この技術を漬物にも応用。
 あわせて「低塩漬物」シリーズとして大ヒット商品になりました。
 いまでこそ、こうした「低塩漬物」は当たり前ですが、当時としては画期的な商品でした。たくあんなども「新漬たくあん」などとして、大いに売れました。
 新漬たくあんが好評だった理由は、低塩であることももちろんですが、食感がポリポリ、しゃきしゃきしていること。これは、昔ながらのおばあちゃんの手づくりたくあんでは出せない感触なのです。添加物でつくり上げた食感と言ってもいいでしょう。
 みんな添加物の味を「おいしい」と言って食べているのです。

●梅干の形をした添加物

 最近のことですが、人からもらった梅干を見て私は思わずうなりました。
   「塩分5%」とあるのです。
 私が作っていたころの低塩梅干は、前述のように塩分は8%か10%がせいぜいでした。その分、技術が進展したということでしょうか。
 しかし食べてみて絶句。「添加物の味きき」をいやが上にもしてしまう私にとって、それはもう梅干ではありませんでした。「梅風味の添加物」あるいは「梅干の形をした添加物」にしか思えないのです。
 塩分5%といったら、常温では保存できません。腐敗を防ぐため、アルコールに漬けてあるのです。
 梅自体も、梅焼酎に使われた「リサイクル梅」なのか、風味もうまみもなにもない。
 その分、「グルタミン酸ナトリウム(化学調味料)」「甘草」「ステビア」「グリシン」「ソルビット」「かつおエキス」「たんぱく加水分解物」で味を補う。「合成着色料」も2〜3種類使って鮮やかな色を出す。すっぱさは「酸味料」で出します。
 要するに、添加物でつくられた「5%の低塩梅干」なのです。
 それは梅干が持つ、素朴な味(塩と酸味のバランスがとれ、梅の香りが口に広がるという風味)とは程遠い代物です。
 日本人が伝承してきた、塩とシソの葉だけでつくる梅干は、いったいどこにいってしまったのでしょうか。(以下省略)

四畳半で梅干を作る
 
2007年3月15日作成 四畳半の住人