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■■ ゴム板や木版に彫る  ■■
作者:四畳半の住人

 実は彫るのって時間かかりません。丁寧さによって時間は変わるでしょうが、わたしの場合、結構ざくざくと適当に彫り進むので黒版でだいたい40分ぐらいです。もちろん下絵の細かさによって変わりますが、、

黒版を彫る

 個人の趣味によりますが、通常は一番細かい3版目(黒の線の版)から彫るのが良いと思います。
 邪道な彫り方なのでしょうが、ゴム板の場合、木目というものがないので角刀(直角に折れた刃先)で線をなぞるように大きい部分からザクザクと切れ込みを入れていきます。
 もちろん彫れないほど細かい所は切出し(カッターみたいな刃先)で切り込みを入れて丁寧に彫ります。
 線を彫り終わったら、今度は丸刀(丸くまがった刃先)で、回りを彫ります。ここで注意してほしいのは、このような3版目の場合、全面を彫らないって事です。葉書を印刷する時に手をついたり、バレンで擦るので全面を彫ってしまうと彫った面に絵の具がついてしまい、汚くなります。ローラーで絵の具を塗るのか、筆を使うのかによってこの時に彫る面積が変わります。試し刷りで汚れるようなら彫ればいいので適当に考えてやめておきます。
 ゴム板の最大の利点は、、細かい部分は板を曲げて彫れるって事です。木版には木目を生かすという利点がありますので、大きい面積を使う場合、ゴム板の場合は、素人でも細かい柄が彫り易いので3版目などにお薦めできます。ただし、よくある張り合わせのナイロン板やプラスチック板の場合は、固いので曲げて彫るのは難しいです。

色版を彫る

 最後の版が彫り終わったら、色の版を彫ります。その際、黒版と同じように紙から写してもいいのですが、黒版は、私のような素人の場合は、印刷した紙とずれちゃっていることがほとんどです。そこで、黒版に絵の具をたっぷりとつけて紙に刷ります。その紙をゴム版、木版にぺったりと押し付けて(位置は狂わないように中心線を利用したり、紙の大きさを工夫してください)、版に転写します。そこで、残す部分を考えて彫るのが楽なので、最近の主流はこれです。

彫る時のコツ

 大は小を兼ねる、というのは版画にもあてはまります。後で線を細く修正することは可能ですが、太くすることは出来ません。そのあたりをよく考えてここはどちら側に大きめに彫るのか、小さめに彫るのか、考えて少しだけ余裕を持たせて彫ると後で楽です。ただし、あまり余裕をつけてしまうと修正が大変です。
 もちろん下絵をきっちりと写せる人ならばこんな余裕は必要ありません。やはり彫る人、刷る人で精度が狂って来てしまいます。多少のずれは絶対にでますのであまり神経質になる必要はありませんが、少し加減するといいです。

トラブル

 ありがちですが、結構彫り進んでから、小さい部分(例えば、目や文字の中の部分)などが木目ごと、ポロっと取れてしまうことがあります。木版の場合、接着剤で固定すればなんとか使えます。ゴム板の場合、誤魔化すことは出来ますが、接着剤は効きません。注意してください。

ゴム板や版木に下絵を写す │試し刷りと仕上げ │
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2003年1月25日作成 四畳半の住人