ニュートンの定義は、
　1 kg の質量の物体に働く時、加速度の大きさが 1 m/s²の加速度を与える力の大きさ　と明解なのですが、 質量と重量が同じ数字になり、同じ単位の呼称を使っているためにこんがらかる原因になります。

バネばかりの話

　日本各地の重力加速度をここに覚え書きとして記します。

都道府県名	重力加速度 m/s2
北海道	9.805
青森、岩手、宮城、秋田	9.805
山形、福島、新潟	9.8
茨城、栃木、群馬、千葉、埼玉 東京、神奈川、富山、石川、福井 山梨、長野、岐阜、静岡、愛知 三重、滋賀、京都、大阪、兵庫 奈良、和歌山、鳥取、島根、岡山	9.798
広島、山口、徳島、香川、愛媛 高知、福岡、佐賀、長崎、熊本 大分、宮崎、鹿児島	9.796
沖縄	9.791

　肉屋や八百屋などの商店で使っているはかりは、たいていがバネばかりです。よく利用されていますが、天秤は質量を計り、バネばかりは力を計るという説明があります。
　ばねばかりには、地球重力がモロに働いて(つまり力が働いて)、そのバネの伸び量から、重さを計っています。ですから計っているものは力だという事になります。
　しかし、肉屋や八百屋で必要なことは、そのものの量(買う肉の量)を求めることです。　ですからバネばかりは、はかりの上に載った品物の質量に比例して、地球が引っ張る力の作用を利用して、質量を計ってことになり、目盛板には直接質量の目盛りをつけ、こうしてバネばかりは質量を計る計器となっています。この場合、計っている地点での重力加速度は一定だとしているので、北海道と沖縄で買い物をする場合、とても厳密に肉や野菜を計りたい場合は、そのとても細かい目盛りが必要です。実際にはそれほどの精度で肉や野菜を買いませんので必要ありません

　このような訳で、1目盛の値が細かいバネばかりには、計量法は次のような規定を設けています。
　1目盛の値がフルスケールの 1/800 未満のものは、そのはかりを使用する都道府県名を書かなければいけない。
　いくつかの都道府県名を書くときは、それらの重力の値が同じでなければならないが、1目盛が 1/1000 以上ならば、その最大差が 0.02 m/s以下ならば差し支えない。

　そして作る場所、はかりの検査する場所と使用する場所が違う場合の補正のために、上の表が計量器検定検査規則に記載されています。
　こうして見ると、バネばかりは1つの力測定器であり、そこの目盛られている質量目盛の値に、この表の重力加速度を掛ければ、その場所でバネばかりの皿に載っている物体による力が求められる。という事が説明できます。

　参考資料
　東京の消費生活~くらしと計量、通商産業省~計量法規
　これらの2つのサイトはURLが変わりやすいのでリンクは貼りません。