四畳半の住人 / 四畳半で梅干しを作る / 土用干し
梅雨明けして、天候が安定してきたら、晴天が続く日を選んで干します。私は夏に遊び過ぎて秋に干したことがありますが、やはり熱い日に干さないと梅の発色は今一つです。しかしながら,梅干農家さんは冬にも干しているので,夏に干せなくてもガッカリしないように。干す前はまずそうな色ですが、日に当てるととても美味しそうな色に変わります。土用干しは最後の仕上げです。
梅雨明けと同時に夕立がおこりやすいのでよく注意。 私の感覚では梅雨明け宣言前が一番天日干しには適していると思いますが、毎年、後の祭り。最近は天候不順ですので、土用の梅雨明けを待たずにいい天気が続いたらさっさと干してしまいましょう。なかなか時間がとれず10月に干したこともあります。
梅干農家は季節を気にせず一年中,冬でも干していると聞きました。結局,土用の時期に拘る必要はなくて,天気の良い日にという事になりますが,冬は太陽の位置が下るので,建物が多い都会では,日照時間は明らかに減り,干しにくくなります。梅農家さんのようにだだっ広い場所があれば問題ないかもしれません。 住んでいる地域や建物の環境によりいい時期に干して下さい。そう考えるとお正月とか天気も良いしいいかな〜って思うんですが,寒そうね。暑いのと寒いの,,どちらが楽かな。。なんて思っています。
ちなみに梅の見栄えがいいのは干してから1,2ヶ月です。梅干しコンクールに出す場合は,コンクールの時期に合わせて干すのがコツかもしれません。(パルシステム梅干品評会に出展している方から質問があったので追記)
干す時間帯
地域や干す場所の環境によります。私の住環境では,朝7時からジリジリしているので,朝の7時から夕方の3時頃までが干す時間です。2012年に引越ししたら,朝9時〜14時半までしか干せなくなりました。夜干しするとよい言われますが、夜干しは夜露がつくほど気温が下がるのがいいとか言われますけど,気温の低下が期待できない都会の夜では、雨の心配の方が危険で、ベタっとした感じになってしまうので、夜は梅酢に戻したり、部屋に入れて下さい。夜はグっと気温が低くなるような地域の場合は、この限りではありません。2時とか3時に取込みは早すぎると思われがちですが、夜干ししない場合は、まだホカホカの時に梅酢に戻すと色ムラも改善されます。色ムラもなく色もこれでいいな?ってなら,梅酢に戻さない方が後が楽ですね。
干す場所を探す 都会ではなかなか干す場所がありません。私の家の回りも高層住宅が立ち並び、干す場所を探すようになりました。大きいザルにしてしまうと場所の確保が大変です。スダレも同様ですね。なかなか広げる場所がありません。小さいザルで僅かな日光を求めて干すのがコツかもしれません。
私の家もだんだんと干す場所が減り、今年(2002年)は大きいザルに麻紐をつけて、洗濯物を干す場所に吊り下げました。。ただゆらゆらするのが少し気になります。吊り下げる場合は小さいザルより大きい梅ザルの方がお薦めです。ある程度の梅が乗らないと軽くてひっくり返ります。このザルは魚や他の野菜を干す時にも使えます。
2002年7月の天日干し風景。 よく質問されるので注意を!
車の上は辞めましょう。車のボンネットにはついつい置きがちでしょうけど、そこは熱く焼けた状態です。そんな熱い場所に直接に置いたら,焼き梅干しか煮梅干しになります。魚の干物ならばきっと煮えちゃいます。で、強い酸ですので、車の塗装も傷むかも知れません。ボンネットに置く位ならば、ザルに紐をつけて、電柱や壁にでも掛けて下さい。同様にコンクリートに直接置くのもオススメしません。
干し方
- 梅布(蒸し布と同じだけど大きい)を敷くとザルに張り付かないし作業が楽です。
- ジリジリとした日光で
私が目安にしているのは、日中に朝顔などの葉がぺろんと力なくテロテロになるような日がお薦めです。干す時に梅を見て、、げっ、、不味そうな色と思う人が大半と思いますが、心配ありません。天日干しにより、赤紫蘇の色も均一になり、白梅干しの場合もキレイな色に変化していきます。初日は不味そうに見えるのはよくあることです。なかなかそういう日に当らないでしょうが、わずかの時間でも干しています。
- 天気予報と相談し、今日はバッチリという早朝5時起きします。朝7時までには並べ終わるようなスケジュールを立てます。暑い日差しは日中だけじゃないので、朝日も無駄なく使いましょう。
- まだ梅は柔らかいので皮を破らないように丁寧に扱います。
- 20%塩分の場合は,水洗いしてからザルに並べるとキレイに干し上がります。
- 丁寧に梅酢から取り出し、ザルに並べます。漬物容器の上にザルを置き、そこに梅をまとめて置いてからザルに並べても時間の節約ができます。
- 私は梅酢は,梅の色づきが悪い時のみ戻しています。色がもういいや!ってぐらい着いてなら戻さず,ガーゼで濾してペットボトルに回収してしまいます。
梅酢を日光浴させてもいいですが,減塩した梅酢は日光で少し生臭くなります。色も悪くなるので,消毒の為に日光浴は控えたほうがいいです。ザルを通して細かい赤紫蘇は取り除いておくと二回目の土用干しが楽になります。
- ザルやスダレは下側も空気の流れが必要です。場所に余裕のある場合は、段ボールなどで地面から上にあげてください。たまにザルに貼り付くのが嫌なのか、ザルにビニールを敷いて梅を並べている人もいますが、ビニールに載せるならば、何もザルに干さなくてもいいんじゃないかなぁ。。と思います。ビニールは通気性がかなり悪く(ってかゼロと考えていい)、干し物には向きません。よく考えてね。しかも吸湿性もゼロに近いので、こぼれた梅酢はしみ込まず、梅の回りにこびりつき、塩分がますます強くなります。だいたいビニールの上じゃ煮えちゃいますよ。(^^;)
- アスファルトや車のボンネットの上では、ゆだってしまいます。注意してください。写真は夕方に近いからもういいかな。。なんて置いちゃっています。
- 梅酢の水分が乾いた頃に梅をひと粒づつひっくり返します。乾く前に濡れている時に返すとザルにくっ付いてしまいます。梅布を使うようになってから,ひっくり返す時の破れは激減しました。
- 1日2、3回返して均等に日をあてます。梅布を使う場合は,あまりひっくり返していません。
- ゆかりを作りたい場合は,赤紫蘇も一緒に干します。赤紫蘇は全部をゆかりにする場合は適当に広げれば大丈夫です。1枚づつ食べたい人は大きい形のよい葉だけを丁寧に広げて干します。塊のまま干してとりあえず殺菌と乾燥。終わったら赤梅酢を入れて赤紫蘇漬は夏のご馳走です。
- 赤紫蘇は生乾きの時に広げると楽です。赤紫蘇は一日でやろうと思わず、何日もかけてやってください。参考:私の赤紫蘇の干し方
- 赤紫蘇はある程度、乾いたら風で飛びやすいので洗濯ネットなどに入れて干すといいです。赤紫蘇は10日間ぐらい干し続けます。ゆかりにする場合、カリカリにしないといけないので、乾燥してから電子レンジを使います。水分が残っている時に電子レンジに掛けると茹でられてしまうので注意です。ある程度乾燥させて水分が少なくなってから、電子レンジでパリンパリンにするといいらしいです。
- 赤紫蘇を梅酢に浸けたまま保管もありです。清潔な瓶に入れて梅酢から出ないようにしておくこと。
色ムラ,色が薄いなーーってな場合は,夕方に梅酢に戻す(自分のお好みです) よく夜干しをすると良いと言うけど,それは夜露がでるような夜は気温がグッと下がる郊外のお話。最近は突然の雨もあるし,夜間は仕舞った方が安心して眠れます。都会では夜干しせずに取り込んだほうがいいです。干し上がりの感じは皮が薄くつまめる状態です。1日で充分と感じたならばそれでも構いません。色ムラがあっても梅酢に戻せば改善されます。
夜干しするか否かは御自分で判断ください。
もちろん天気が不安な場合は部屋に入れたほうがいいと思います。 赤梅干で染まりムラがあるならば,梅がまだ温かいうち〔3時頃まで)に戻します。白梅干は戻さなくてもいいと思います。夜は梅酢に戻すことで全ての梅が均等に色づいていきますから心配ありません(→
梅干し Q&A > 梅の色づきがバラバラです参考)赤紫蘇は梅酢に戻さず、室内に入れるだけにします。半乾きになったら洗濯ネットに溜めていきます。
2,3日目〜
干し上がりの見極めは、梅干しの皮の状態で観ます。皮が薄く柔らかくつまめるようなら出来上がりです。つまめる皮が厚く、固い梅は一度発酵してしまった梅なのでもう変わりません。摘んだ時に皮が破れちゃうのは干しが足らない事が多いです。ただ柔らかいだけの梅ではなくて,皮は柔らかくしなやかに強く,,が星上がりサインです。干す日数は自分の好みと感覚で決めて下さい。
最後の日は梅酢に戻さず別の容器に取り分けるか、ザルのまま置いておきます。良く出来た梅ならば,梅酢に戻さなくてもシットリとした蜜が出てきます。干しすぎるとシットリ露は出ませんが,それも好みです。天気がよければ、風通しの良い場所に出しっ放しで構いません。今年(2002年)からザルを紐で吊るす方式にしたところ、仕上げの時はそのまま外に吊るしておいても問題ありませんでした。
実際には、1日で土用干しを終える梅もあります。仕上がり重視で干し時間を決めて下さい。
保存〜保存瓶や保管方法はコチラ→ 梅干しの保管:容器など
あまり深い器に入れると下の方の梅が潰れてしまいます。柔らかい梅の場合は、タッパーやドンブリなど浅い皿に並べて保管します。保管中に梅から梅酢が染み出てしっとりと濡れた梅になります。写真は、保存瓶の準備待ち状態で、漬けバケツのままです。梅酢が染み出てきています。別にね、このままでも平気ですが、保存瓶の方が取り扱いが楽です。
赤紫蘇はこのまま10日ほど干しつづけます。半年目からが食べごろです。干し上りの梅干は塩っぱいけど、太陽の香りがするようなフルーティな味わいでそれも美味しいです。出来たての梅干しならば、梅干し嫌いな人でも食べられそうです。本や昔からの言い伝えでは、3年以上寝かせると旨いとありますが、そんな先入観は捨てたほうがいいです。3年以上っていうのはもっと塩がきつかった頃の話しじゃないかなぁ。。私の梅干しは5年前まで遡って食べても1年モノ、2年モノ、3年モノ、、差はそれほど感じません。
3年以上熟成と言うのは、昔のキツイ塩分の場合で、塩がキツイから3年寝かせて〜が正しいと思います。 熟度も揃った梅が入手でき、殺菌もお手軽に出来るようになり、菌に強い材質の漬け容器があり、18%以下の減塩が可能になった最近では3年寝かせて、、は必要ないと思います。で、5年分の梅干しでアンケートを取ってみました。非常に面白い結果となりました→
自家製梅干しの美味しい時期 そもそも15%以下の減塩の場合は1年過ぎると味が惚け落ちてきます。上手に漬け,上手に干すと容器に仕舞ったらすぐに蜜のようなものが出てきます。
ごてごてと書いても質問が多いのが土用干しです。2004年は実際の土用干しの状態を大きい写真で紹介することにしました。→
土用干しの実際
富山にお住まいのMakiさんからメールを頂きました。まったくその通り!って思った部分を抜粋して紹介させていただきます。2005年7月28日
しかし自分が梅干を作っていると、道を歩いていてふと香りに気づき、
「ん?どっかで干してる?」と見回してみるとビンゴだったりします。
自分で作るようになるまでは、全く気づかなかったのに、不思議なものですね〜。
│土用干しを待つ │ザルに並べるまで │土用干し│土用干しの実際│
四畳半で梅干しを作る
2000年10月24日作成 2014年7月30日更新 四畳半の住人